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社内にIT担当がいない会社は、外部に任せる範囲をどう決めるか

この記事の要点
- IT担当がいない会社は、「作業」ではなく「判断」で切り分ける。何を守るか・いくらかけるか・誰が決めるかは社内に残す。
- その前提は、機器台帳・契約回線・アカウント・保守期限・バックアップ・連絡先という6つの管理情報を自社で持つこと。
- 外部に任せても管理責任は自社に残る。対応範囲や契約終了時の返却まで文書にしておく。
この記事の答え
社内にIT担当がいない会社は、「作業」ではなく「判断」で切り分けるのが基本です。何を守るか、いくらかけるか、誰が決めるかは社内に残し、設定変更・障害の切り分け・機器の更新など手を動かす部分を外部に任せます。
その前提が、機器台帳・契約回線・アカウント・保守期限・バックアップ・連絡先という6つの管理情報を自社で持っていることです。これがないと、任せる範囲を決めることも業者を替えることもできません。
外部に任せても管理責任は自社に残ります。IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026年3月27日公開、2026年9月時点の最新版)の経営者編は、業務の一部を外部に委託する場合は委託先でも少なくとも自社と同等の対策が行われるようにし、契約書に委託先の責任や実施すべき対策を明記して合意する必要があるとしています。
社内に残す判断と、外部に任せる作業
総務や経理が兼務している会社では「少し詳しい人が全部やる」状態になりがちです。領域ごとに分けます。
| 領域 | 社内に残す(判断) | 外部に任せられる(作業) |
|---|---|---|
| 方針・費用 | 何を守るか、どこまで投資するか | 選択肢と影響の整理、見積内訳の説明 |
| 情報の把握 | 台帳を自社で保有し、更新を承認する | 台帳の初期作成、棚卸しの代行 |
| 問い合わせ | 誰がまとめて連絡するかを決める | 一次受けと切り分け、遠隔(訪問せずネットワーク経由で行う対応) |
| 機器・回線 | 更新時期と予算の判断 | 設定変更、更新作業、配線、メーカー窓口とのやり取り |
| アカウント | 入退社にともなう発行・停止の指示 | 設定作業と、設定内容の記録の提出 |
| 緊急時 | 取引先や顧客へ報告するかの判断 | 原因調査と切り分け、復旧作業 |
判断まで外に出すと、何を根拠に決めたかが社内に残らず、担当者が替わった時点で振り出しに戻ります。作業まで抱えれば属人化します。
最低限そろえる管理情報と、進め方
1. 機器台帳をつくり、保守期限を書き添える
パソコン、サーバー・NAS、ルーター、無線アクセスポイント、複合機、電話機、カメラを、機種・設置場所・使用者・購入時期の順に一覧にし、保守契約やサポート終了の時期も並べます。IPAのガイドラインには付録6「資産管理台帳(サンプル)」が付きます。
2. 契約回線と外部サービスを書き出す
契約者名・契約番号・請求先・更新月をそろえ、名義が不明な契約をつぶします。
3. アカウントと権限を棚卸しする
管理者アカウントが誰のものか、退職者のIDが残っていないかを確認します。所有者は自社にしておくのが原則です。
4. バックアップを決める
IPAは第4.0版で「情報セキュリティ6か条」に「バックアップを取ろう!」を加えました。取得先、世代数、戻せるかを確かめる担当を決めます。
5. 連絡先を1枚にまとめ、窓口を一本化する
IPAのガイドラインも、インシデント発生時の通知義務・連絡先を文書化し、役割分担と連絡体制を相手先と合意するとしています。
6. 取り決めを文書にする
対応範囲、連絡方法と受付時間、訪問と遠隔のどちらで対応するか、作業記録の残り方、契約終了時に設定情報とアクセス権をどう返してもらうか。IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」も、サポートの受付時間・連絡方法、利用終了時のデータの取扱い条件、再委託先の管理監督責任の明記を確認項目に挙げています。
費用と期間の考え方
金額を先に聞いても比較になりません。次の要因で変わるため、前提をそろえてから見積を取ります。
- 対象範囲。パソコンだけか、サーバー・回線・複合機・電話・カメラまで含むか
- 拠点数と機器の台数、拠点間をつなぐ必要があるか
- 遠隔で足りるか、現地に来てもらう頻度
- 受付時間と対応時間をどこまで求めるか(夜間・休日を含めるか)
- 台帳の整備状況、サポート終了間近の機器がどれだけ残っているか
期間も初回は「調べる時間」が中心で、台帳が白紙なら現地確認が先になります。
自社でできること/業者に頼んだ方がよいこと
自社でできるのは、台帳の更新、退職者IDの停止指示、バックアップが戻せるかの立ち会い確認、IPA「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」(25項目)による現状把握です。
一方、ネットワークの切り分け、サーバーやNASの構成変更、UTM(インターネットとの境界で不正な通信を遮断する機器)の設定、配線工事、複数メーカーがからむ障害の原因追及は、外部に頼んだ方が早く済みます。依存しすぎないための最低条件は、台帳と設定情報の写しが自社にあり、作業記録が残っていることです。
静岡県東部で相談するなら
有限会社GT.engineerは、静岡県三島市長伏52-3にIT部門を置き、沼津市・三島市・清水町・長泉町を中心に、伊豆市・伊豆の国市を含む伊豆地域全体でご相談を受けています。ネットワーク・Wi-Fi、サーバー・NAS、パソコン、複合機、ビジネスフォン、防犯カメラ、UTM、IT保守・伴走支援などを扱っており、分野をまたいだ相談にも対応します。訪問と遠隔のどちらで対応するかは、地域と相談内容に応じて確認します。切り分けの考え方はIT保守・伴走支援のページに、ご相談はお問い合わせから。
よくある質問
Q. 設定情報やパスワードは、業者に預けてよいのでしょうか
A. 預けるかどうかより、「自社も同じ情報を持っているか」が要点です。管理者アカウントの所有者は自社とし、必要な権限を業者に渡す形にしておくと引き継ぎで困りません。IPAのクラウドサービス安全利用の手引きでも、ID・パスワードを共有しないことが挙げられています。
Q. 窓口を一本化すると、かえって遅くなりませんか
A. 窓口が複数あるほど「どこに聞けばよいか分からない」時間が長くなります。社内の連絡担当と不在時の代理を決め、外部への連絡も1系統に絞り、業務が止まる規模の障害だけ別経路を用意しておけば、速さは損なわれません。
Q. SECURITY ACTIONは宣言しておいた方がよいですか
A. 中小企業が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度です。「一つ星」は「情報セキュリティ6か条」に取り組むことの宣言で、対策の実施前でも申し込めます。IPAによる認定ではないため、「認定」「取得」という言い方は避けてください。2026年4月1日以降の申込にはGビズIDプライムまたはメンバーアカウントが必要です。
出典:IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026年3月27日公開)https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html /IPAプレス発表「『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン』第4.0版を公開」(2026年3月27日)https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260327.html /IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(同ガイドライン付録7、2026年6月 Version 2.3)https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0_app_7.pdf /IPA「SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言」https://www.ipa.go.jp/security/security-action/sa/ /IPA「『一つ星』を宣言する」https://www.ipa.go.jp/security/security-action/onestar/ /IPA「SECURITY ACTION 自己宣言の申込方法」https://www.ipa.go.jp/security/security-action/entry/ /中小企業庁「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)制度」https://www.smartsme.go.jp/ (いずれも2026年9月16日確認)

