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事務所・店舗の業務用Wi-Fi|業者に頼む前に社内で決める9項目

業務用Wi-Fiの見積もりが業者ごとにばらつく原因は、価格差ではなく前提のずれです。電波を届けたい範囲、同時につなぐ台数、来客用と業務用の分け方——この3つが決まっていないと各社が別々の想定で見積もるため、金額を並べても比較になりません。
この記事の要点
- 見積もりがばらつく原因は価格差ではなく前提のずれ。金額を並べても比較にならない。
- 相談前に社内で決めるのは9項目。A4用紙1枚にまとめて渡せば、各社の前提がそろう。
- 金額を動かす要因は6点。現場ごとに変わるため、相場では判断できない。
この記事の答え
これに有線でつなぐ機器、電源とLANの経路、導入後の管理担当を加えて社内で決めておけば、同じ条件の提案が集まります。決められない項目は「未定」と伝えれば十分です。
先に選んでおく判断基準
どれを選んでも間違いではありません。自社の使い方に合う側を選び、理由まで言えるようにしておきます。
| 決める項目 | 選択肢 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 電波を届ける範囲 | 執務室・客室だけ/廊下・階段・倉庫も/駐車場やテラスなど屋外も | 屋外を含めるなら先に伝えます。2026年9月時点で無線LANは免許不要ですが(一部の帯域は登録手続が必要)、周波数帯ごとに屋内・屋外の利用条件が定められています。 |
| 同時接続台数 | 社員の人数分/人数×2〜3台/業務機器も含めた実台数 | 複合機、POS、券売機、防犯カメラも同じ電波を使います。宿泊施設は客室分も。 |
| 来客用と業務用の分け方 | 分けない/SSID(ネットワークの名前)だけ分ける/ネットワークごと分離する | 開放するなら分ける前提で考えます。総務省はWi-Fi提供者(店舗・施設)向けの手引きを公開しています。 |
| 認証と暗号化 | 全員が同じパスワード/利用者ごとにIDを発行 | 総務省は暗号化方式にWPA2またはWPA3を案内し、企業向けには利用者ごとにIDを設定するエンタープライズ方式を紹介しています。 |
| 管理方法 | 機器を1台ずつ設定/コントローラーやクラウドでまとめて管理 | 台数や拠点が増えるほど後者が現実的です。Wi-Fi Allianceによれば、Wi-Fi CERTIFIED 7は2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯が対象です。 |
相談前に社内で決める9項目
1. 電波を届けたい場所
電波を届けたい場所を、図面か手書きの間取りに印を付ける。屋外を含めるかも決める。
2. 同時接続台数
同時接続台数を数える。人の端末と業務機器を分けて書き出す。
3. 来客用Wi-Fi
来客用Wi-Fiを出すか、出すならどこまで業務用と分けるかを決める。
4. 通してはいけない通信
通してはいけない通信を決める。「来客用から社内のNASには入れない」など言葉で十分です。
5. 有線で確実につなぐ機器
有線で確実につなぐ機器を決める。複合機、NAS、POS、防犯カメラなど止まると困るものです。
6. 回線の契約内容と設置場所
回線の契約内容と設置場所を確認する。事業者名、プラン名、ONU(光回線の終端装置)の置き場所を控えます。
7. 電源とLANの経路
アクセスポイントを置ける場所の電源とLANの経路を確認する。天井裏を通せるか、露出配線は許容できるか、置けない場所はどこかを整理します。
8. パスワードと管理者情報の持ち方
パスワードと管理者情報の持ち方を決める。誰が知り、退職時にどうするかまで決めます。
9. 導入後の担当と連絡先
導入後の担当と連絡先を決める。社内で見る範囲と業者に渡す範囲の線を引きます。
ひとこと:A4用紙1枚にまとめて渡せば、各社の見積もりの前提がそろいます。
費用と期間の考え方
金額は現場ごとに変わるため、相場では判断できません。動く要因はこの6点です。
- アクセスポイントの台数。建物の構造(コンクリート壁、金属棚、防火区画)と届けたい範囲で決まります。
- LAN配線の本数・距離と工法。天井裏や壁内を通せるか、露出になるかで作業量が変わります。
- 電源工事やPoE(LANケーブルで給電する方式)対応スイッチの必要性。
- 既存の回線・ルーター・スイッチをどこまで流用できるか。
- 来客用の分離や利用者ごとの認証をどこまで作り込むか。
- 営業時間外・休業日の作業になるか。
期間は、現地調査、設計、機器の手配、配線工事、設定、動作確認の順に進み、それぞれの間に待ち時間が入ります。機器の納期と改装工事の日程に左右されます。
自社でできること/業者に頼んだ方がよいこと
自社で進められるのは判断と情報の整理です。上の9項目の決定、端末と業務機器の棚卸し、回線契約の確認、「どこで、いつ不調が出るか」のメモ、運用ルールづくりです。
総務省は、サポート期限内のWi-Fiルーターを使う、ファームウェアを最新に保つ、パスワードを推測されにくいものにする、設定を定期的に確認する、といった対策を挙げています。IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」も、自社診断の項目に「外部から内部ネットワークへの不要な通信を遮断する」を挙げています。いずれも機器を新しくしただけでは満たせません。
業者に任せた方がよいのは、測って決める部分と建物に手を入れる部分です。電波測定とアクセスポイントの配置設計、天井裏や壁内のLAN配線、電源やPoEスイッチの設計、来客用と業務用の分離設定が該当します。
静岡県東部で相談するなら
有限会社GT.engineerは、静岡県三島市長伏52-3にIT部門を置き、沼津市・三島市・清水町(駿東郡)・長泉町を中心に、伊豆市・伊豆の国市を含む伊豆地域全体でネットワークとWi-Fiのご相談に対応しています。訪問と遠隔のどちらで進めるかは、地域と相談内容に応じて確認いたします。
上の9項目は途中まででも構いません。サービス内容はネットワーク・Wi-Fiのページに掲載しています。ご相談はお問い合わせ、電話055-957-4706、メールinfo@gt-engineer.jpで承ります。
よくある質問
Q. 家庭用ルーターを業務でそのまま使い続けてはいけませんか。
A. 使えないわけではありませんが、同時接続台数の想定、来客用の分離、複数台をまとめて管理する仕組みという点で設計の考え方が異なります。まず実台数を数え、届けたい範囲に足りているか確認してください。メーカーのサポート期限内かどうかも判断材料です。
Q. 移転や改装のとき、いつ相談すればよいですか。
A. 内装の図面が固まる前が目安です。アクセスポイントの位置、配線ルート、電源の位置を内装工事と同じタイミングで決めた方が、後から露出配線を追加する手戻りを避けられます。工事開始後でも対応できますが、選べる工法は狭まります。
Q. 複数社の見積もりを比べるとき、どこを見ればよいですか。
A. アクセスポイントの台数、配線の本数と工法(天井裏か露出か)、設定作業の範囲、導入後の管理と問い合わせ先が書かれているかを見てください。これらが示されていない見積もりは、金額だけでは比較になりません。
出典:総務省「無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/wi-fi/ /総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト|安全な無線LANの利用」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/staff/03/ /総務省「無線LAN等に関する制度と現状」(令和4年3月) https://www.soumu.go.jp/main_content/000844486.pdf /IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」 https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html /Wi-Fi Alliance「Wi-Fi CERTIFIED 7」 https://www.wi-fi.org/discover-wi-fi/wi-fi-certified-7 (いずれも2026年9月16日確認)

