バックアップとは?USBや外付けHDDに入れてるだけでは不十分な理由
業務データを確実に守るための正しいバックアップ戦略
業務データの保全を考えるうえで「バックアップ」は欠かせない要素です。
一方で、USBメモリや外付けHDDにデータを保存しているだけで「バックアップはできている」と認識されているケースも多く見られます。
本記事では、バックアップの基本的な考え方と、USBや外付けHDDのみでは不十分とされる理由について整理します。
📋 目次
- 1. そもそもバックアップとは何か
- 2. USB・外付けHDD保存の実態
- 3. USB・外付けHDDだけでは不十分な理由
- 4. 現実的に求められるバックアップの考え方
- まとめ
1. そもそもバックアップとは何か
バックアップとは、元データが消失・破損した場合に復元できるよう、別の場所・別の状態でデータを保持しておくことを指します。
想定される主なデータ消失要因
データ消失の主な原因(画像: Wikimedia Commons)
- 💥 PCやHDDの故障
- 🗑️ 誤操作による削除・上書き
- 🦠 ランサムウェアなどのマルウェア被害
- 🔥 火災・水害・盗難などの物理的事故
💡 重要ポイント:
バックアップは、これらのリスクが発生した際に業務を継続・復旧するための手段です。
2. USB・外付けHDD保存の実態
外付けHDDによるバックアップ(画像: Pexels)
USBメモリや外付けHDDは、以下の理由からバックアップ先として利用されることがあります。
- 導入コストが低い
- 操作が簡単
- 特別な設定が不要
しかし、これらは「バックアップ用途として不十分になるケースが多い」という事実があります。
3. USB・外付けHDDだけでは不十分な理由
(1) 接続したままだとランサムウェアの影響を受ける
ランサムウェアによる被害の脅威(画像: PxHere)
USBや外付けHDDをPCに接続したまま使用している場合、ランサムウェアに感染するとPC本体と同様に暗号化される可能性があります。
⚠️ 警告: これは実際の被害事例でも頻繁に確認されています。バックアップデータごと暗号化されてしまうと、復旧は極めて困難になります。
(2) 世代管理(過去の状態)が残らない
単純なコピー運用では、「上書き保存」や「誤削除」が発生した場合、その状態がそのままバックアップに反映されてしまいます。
結果として、「復元しようとしたが、バックアップ先のデータもすでに壊れている・消えている」という状況が起こります。
(3) 人の手に依存する運用になりやすい
手動操作によるヒューマンエラーのリスク(画像: PxHere)
USB・外付けHDDによるバックアップは、以下のような運用ミスが発生しやすい傾向があります。
- 接続し忘れる
- コピーし忘れる
- 定期的に行われなくなる
バックアップは「やっているつもり」になりやすい代表的な分野です。
(4) 物理的な破損・紛失のリスク
HDDの物理故障リスク(画像: Public Domain Pictures)
USBや外付けHDDは、落下・衝撃による故障や、紛失・盗難のリスクを伴います。
🌩️ 注意: 特に「PCの横に置いてあるHDD」は、火災や水害時にPCと同時に失われる可能性があります(同一拠点リスク)。
4. 現実的に求められるバックアップの考え方
データ保護の基本:3-2-1バックアップルール(画像: PxHere)
実務上は、以下の要素を組み合わせる構成が一般的です。
- 自動化されていること(人の手に頼らない)
- 世代管理(過去データを残し、誤操作前に戻れるようにする)
- 保存先の分散(物理的に離れた場所やクラウドへの保存)
よく用いられる構成例
NASとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成(画像: EdrawMax)
- NASへの定期自動バックアップ
- NASのスナップショット機能(ランサムウェア対策)
- クラウドストレージやクラウドバックアップとの併用
重要なのは、「何から」「何を」「どこまで守るか」を明確にした上で設計することです。
まとめ
USBメモリや外付けHDDは、一時的なデータ移動や補助的な保存先としては有効です。
一方で、以下の観点では単体でのバックアップ手段としては不十分とされています。
- 🛡️ ランサムウェア対策
- ↩️ 誤操作への備え(世代管理)
- 🏢 業務継続を前提とした復旧(BCP)
📞 お問い合わせ
GT.engineerでは、業務内容・データ量・予算に応じた最適なバックアップ構成の整理と提案を行っています。
「今のバックアップで大丈夫か不安」という方は、お気軽にご相談ください。